Japan Research Center
ハーバード・ビジネス・スクール日本リサーチ・センターは、2002年1月に東京に開設されました。HBS教官の日本における研究とケース・スタディ作成を支援することがセンターの主な目的です。日本リサーチ・センターはHBSのグローバルな研究・教育活動を推し進める重要な一翼を担ってまいりました。日本リサーチ・センターの支援によって、HBS教官は日本企業の経営課題、最新の動向、慣行についての理解を深め、日本の視点を適切に取り入れたケース・スタディや教材を作成して、MBA・エグゼクティブ教育プログラムの充実を図ることができます。また、日本の企業、大学、政府機関、HBS卒業生などとの絆を強めて、HBSの活動のインパクトを確実なものにすることを目指しています。日本リサーチ・センターの協力により、HBSの教官は日本企業の経営の重要な革新を認識・研究し、自らのアイディアを日本の枠組みの中で発展させ検証することができます。
ニュースレター No. 14 | 2009年10月
2009年上半期の活動について
2009年8月に、佐藤信雄がハーバード・ビジネス・スクール日本リサーチ・センター長として着任いたしました。
<略歴> 1978年日本興業銀行入行。資産運用業務(ロンドン)などを経て、1993年、エグゼクティブサーチ・ファームのエゴン・ゼンダー・インターナショナルに入社。パートナーとして金融セクターの業務を管轄。1978年慶應義塾大学経済学部卒業、1982年ハーバード・ビジネス・スクールで経営学修士(MBA)取得。
ケース
新日本製鐵株式会社 スリカント・ダタール(会計とマネジメント)
国内最大手の鉄鋼会社、新日本製鐵株式会社の国際化戦略に関するケースです。グローバル・プレーヤーであるアルセロール・ミタル社の出現により鉄鋼業界には急速なグローバル化の波がおとずれ、新日鉄は早急な対応を迫られることとなります。同ケースでは、国際化を進めるにあたり企業が直面する海外での生産体制や企業構造の変革などの課題について述べています。
日本の金融政策(B)
ラウラ・アルファロ(BGIE)
2008年に作成した日本の金融政策に関するケースの続編です。2009年の初め、米国のサブプライムローン問題を引き金に世界経済が低迷し、日本経済も厳しい状況にありました。輸出企業の業績低迷により失業率が上昇しさらに景気が後退する中、日本銀行総裁白川方明は、金融危機を乗り切るためにCPや国債の買い入れなどの「非伝統的政策」を講じる決断を迫られます。
日本の消費者金融業界:シティ
CFJ (A) (B) ガナー・トランブル(BGIE)
日本は従来から貯蓄率が高い国である一方で、消費者金融が発達しており、その高い収益性から銀行や海外投資家が参入する例がありました。近年ではGE
Capital(1998年)とCiti
Financial(2000年)が日本の消費者金融会社を買収することにより参入しました。2006年に大手の消費者金融会社に対して、過払い利息を借り手に返却することを求める判決がくだされました。その結果、過払い利息の請求が急増する中、Citi
CFJは今後どのように対応すべきかの決断を迫られます。
岩崎弥太郎:三菱の創業
(A) (B)
ジェフリー・ジョーンズ(アントレプレナー・マネジメント)
明治維新による社会の急速な変容を機会として捉え、下級武士の出身でありながら、海運業と後の三菱の土台となる様々な事業を立ち上げ豪商となった岩崎弥太郎の人生を描くことで、19世紀後半以降、日本はなぜあれほど早く江戸の封建社会から近代工業化社会へと変容することができたのか、その変革において起業家・岩崎弥太郎が果たした役割は何か、について考えるケースです。続編のBケースでは、弥太郎の死後の三菱と日本郵船(海運業は三菱から切り離され日本郵船となった)の発展の歴史を1945年まで描いています。「グローバル資本主義の形成」のクラスで使用されています。
日本の消費者の支払い方
ベンジャミン・エーデルマン(ネゴシエーション、組織と市場)・アンドレイ・ハジウ(ストラテジー)
2008年時点の日本では、現金決済でクレジットカードの利用がいまだ少ない一方で、非接触技術を利用したカードや携帯電話に搭載されているeマネーの市場が急速に拡大している、など、日本における消費者の支払いの仕方の特徴をまとめたケースです。このケースは「アメリカの消費者の支払い方」というケースと合わせて、「ネットワークビジネスの運営」というクラスで使用されています。
TOTO株式会社 メリー・トリプサス(アントレプレナー・マネジメント)
TOTOは米国市場に1989年に進出して以来大きな成果を上げてきましたが、プレミア商品である"ウォシュレット"の販売は苦戦を続けていました。日本では大成功を収めたウォシュレットですが、米国市場においてもウオッシュレットの販売に固執を続けるべきか決断を迫られます。海外市場における行動や文化、制度的障壁について触れるとともに、企業のアイデンティティーやカルチャーについても述べています。
HOYA株式会社 カール・ケスター(ファイナンス)
2007年4月、HOYAはペンタックスの買収を友好的なものから敵対的買収に変更すべきか決断を迫られていました。敵対的買収を行えば日本社会において反発を受け、買収後の統合プロセスがより複雑になるリスクがあります。一方、買収に関してペンタックスの経営陣からの強い反発があり、大株主であるスパークス・グループが買収の条件に関して関与するようになってきました。このケースは、企業価値、コーポレート・ガバナンス、アクティヴィスト、買収プロセスにおける戦術、企業統治に関する日本のマーケットの特異性等多くの課題について触れています。
株式会社アデランスホールディング
ラケッシュ・クラナ(組織行動論) ロビン・グリーンウッド (ファイナンス)
2008年5月の株主総会において取締役の選任が全員否決されたことに伴い、ヘッジファンドで大株主のスティール・パートナーズは、3つの選択肢の中から対応を迫られました。新しい経営陣を送り込むか、他の投資家を探して売却すべきか、他の事業会社を探して売却すべきか-いずれの選択もスティール・パートナーズにとってレピュテーションと金融上のリスクを伴うものでした。
ボストンからの教官等の訪問
2009年下半期には、以下の教授陣が研究やケース作成のために来日しました。
| [ 教授名] | [ プロジェクト] |
| ・ロバート・エクルス(組織行動論) | 企業の環境経営(ケース) |
| ・ゼイネップ・トン (テクノロジー・オペレーションマネジメント) |
コンビニの海外展開(ケース) ファッション小売店の店舗運営(研究) |
| ・フリッツ・フォリー (ファイナンス) | 金融機関の企業買収(ケース) |
| ・ジョーダン・シーゲル (ストラテジー) | 外資系製薬会社の人事政策(ケース) |
リンダ・ヒル教授(組織行動論)は、4月7日にHBS 日本同窓会のスピーカー・プログラムで "Where Will We Find Tomorrow's Leaders?" というタイトルでスピーチを行いました。
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